介護の仕事は対人援助の専門職であり、円滑に仕事を進めるには現場で高齢者との信頼関係を築くことが重要です。そのカギを握るのが、コミュニケーションです。特に介護の現場では身体の不自由な高齢者の日常生活をサポートするため、コミュニケーションについても専門的な知識や技術が要求されます。このように、対人援助に欠かせないコミュニケーション能力は、全ての介護技術の基礎といっても過言ではないのです。
一口にコミュニケーションといっても、その手段は多種多様です。一般的に最もイメージされるのが、言葉として表現するもので、これは言語的コミュニケーションと呼ばれます。ただしこれは数多くあるコミュニケーション手段の中でも、ほんの一部にすぎません。むしろ非言語コミュニケーションの方が多いのです。
例えば、表情やポーズをはじめ、身振りや手振りといった身体語、声質や声量あるいは語調や抑揚などの準言語、さらに服装や化粧または匂いや距離感までもが非言語コミュニケーションに含まれます。このように、コミュニケーションの手段は多岐にわたることを理解すべきだといえます。
特に高齢者の多い介護の現場では、必ずしも高齢者と言葉で意思疎通ができるとは限りません。耳や目、手足などに障害を抱えている高齢者と、日常的にコミュニケーションを取らなければならないケースも決して珍しくないのです。そのようなケースでは、言葉以外の非言語コミュニケーションをフルに活用して、スムーズに高齢者とコミュニケーションできる技術などが介護職には求められます。